妊婦健診を受けなかったり、妊娠や出産に関する知識が不足したまま出産を迎えたりした場合、産後に児童虐待をしてしまう可能性が高いといいます。妊婦に対して適切なケアを頻繁に行っていくことで、児童虐待の数を減らすことができる可能生があります。

妊婦を取り巻くさまざまな要因 児童虐待につながる場合も

 2009年に児童福祉法が改正され、児童虐待を予防するためには、出産前の段階から妊婦を支援していくことの必要性が示された。また、支援が特に必要な妊婦を「特定妊婦」とし、例えばある自治体では、選定基準を次のように定めています(※1)。

・若年妊婦
・予期しない妊娠(望まない妊娠も含む)をした妊婦
・精神疾患を合併している妊婦
・アルコールや薬物等の依存症を合併または既往歴がある妊婦
・知的障害等の障害を合併している妊婦
・妊娠届の提出が著しく遅れている妊婦
・母子健康手帳の未交付の妊婦
・初回の妊婦健診が妊娠中期以降等の妊婦
・その他の療育環境の問題がある妊婦
・医療機関からの情報提供、支援要請のあった妊婦

 これらを見てもわかるように、妊婦個人の健康や周囲の環境など、妊婦を取り巻くさまざまな要因が児童虐待につながると考えられています。

児童虐待の可能性が高い妊婦の特徴とは? 保健師の立場から

 ある自治体と大学との共同研究により、保健師の現場経験から、児童虐待の可能性が高いと考えられる妊婦の特徴が以下のように示された。

・妊婦健診を受けていない、または受診が不定期の妊婦
・妊娠や出産に関する知識が不足している妊婦、
・入院先の確保ができていない妊婦
・慢性疾患が悪化する可能性がある妊婦
・医療機関への受診支援が必要な妊婦

児童虐待とリンク 経済的困難や飛び込み出産

 先行研究では、妊婦健診未受診であった妊婦の約4割で経済的困難があり、2割以上が出産直後から子どもを乳児院に預ける選択をしました。また、7割以上が飛び込み出産でした。

児童虐待を防ぐために私たちができることは?

 児童虐待の背景には妊婦を取り巻くさまざまな問題があることは明確です。私たちにとっても決して他人ごとではありません。

 虐待の可能性が高いと考えられる妊婦の特徴を知り、このような妊婦に対しては、保健師や身近な人などが定期的に妊婦健診の受診状況や結果を確認するとともに、出産準備の状況についてもきめ細かく把握し、サポートしていくことが必要でしょう。